スタートアップ企業紹介 軒先株式会社

軒先株式会社
代表取締役 西浦 明子さん

肩書はスキマハンター。
遊休スペースを
ビジネスチャンスに!

会社設立から軒先さんは「ベンチャーフェアJapan2009最優秀賞」を皮切りに、多くの賞を受賞されてきました。注目度の高い御社のビジネスについて、簡単にご説明いただけますか。

弊社のサービスをひと言でいうと“スペースシェアリング”です。通常の不動産の賃貸、売買の取引形態ではなく、新しい枠組みとして、一時使用つまりレンタルで不動産の遊休スペースを貸してくださる方と、そこを一時的に使いたい方をマッチングするプラットフォームを提供しています。対象とするのは、不動産屋さんが扱っていないような土地、建物ばかりで、これらを短期で仲介するというのが基本のビジネスモデルになります。

お話いただいたビジネスモデルを基本に、複数のサービスを展開されているようですね。

はい。一番最初に立ち上げたのが軒先ビジネスというサービスでして、空きスペース、不動産の遊休スペースを使って、短期の催事などでご商売をされる方、今どきの言葉でいうとポップアップストアをされる方向けのマッチングのサービスです。続いて2012年にサービスを開始したのが軒先パーキングでして、これは駐車場をシェアするサービスになります。こちらも一時的に駐車場をお貸ししたい方と、借りたい方をマッチングするプラットフォームを提供しています。そして、2018年に吉野家ホールディングスさんとの共同事業でスタートしたサービスが、レストランシェアサービスの軒先レストランです。

不動産の遊休スペースや駐車場、レストランを空いた時間だけ貸し出すサービス。
面白いところに目をつけられましたね。

会社員時代に南米のチリに海外赴任していた時期があり、そのときに真鍮製の食器の素晴らしさに惚れ込んでしまいまして、こうした雑貨の輸入販売をしてみたいと考えたことがあるんです。出産を機に会社を退職していましたし、大げさなビジネスではなく、主婦が趣味の延長で行う個人輸入のネット販売です。最初に反応が見たくて、短期で販売スペースを借りようとしたら、びっくりするくらい賃料が高くて、そのときに短期での販売スペースの需要は結構あるのではと気づきました。

西浦さんは10年ほど前に起業の道を選ばれたわけですが、
当時と現在のスタートアップ環境の違いについて、どのように感じていますか。

これは、ものすごく変わりましたよね。
起業のハードルが一気に下がりましたし、もう起業しないのがもったいないくらいですよ(笑)。サービスにしても資金調達にしても、今は本当に恵まれた環境にあると思います。私が起業した当時は、スタートアップ云々ではなくて、なによりも大企業で働くメリット、安定感が非常に大きかったのですが、そうした価値観がこの10年間で大きく揺らいでいて、大企業にいるから将来は安泰だとは誰も思えなくなった。そうした変化の中で、スタートアップという選択肢が大きく浮上してきましたね。

大企業のオープンイノベーションに対する意識の高まりも、
スタートアップ環境の改善につながっているのでしょうか?

ええ、それは本当に実感しています。10年前なんて、名のある企業は相手にもしてくれなかったですよ。それが今では、大企業側からスタートアップとコラボしたいと言ってくる。ありえなかったことが現実になっているのですから、ただただ驚きですね。一部上場企業と最初の取引をするまで、ものすごい高いハードルで本当に苦労しましたが、今や先方さまから「なにか一緒にできることはありませんか?」と聞いてくる時代なんです。まさに隔世の感がありますね。

資金調達、仲間作り。
スタートアップ企業にとってはどちらも大きな課題ですが、やはり苦労されましたか?

個人事業からスタートして、株式会社にしたのが1年後です。法人化にも費用がかかりますし、自信が持てるまでは慎重に進めました。資金調達に関しては、当時、ほとんどのVC(ベンチャーキャピタル)はIPOが見えているミドル・レイター期の企業にしか資金を提供してくれなかったので、シード期にも資金提供してくれるVCに出会えたことは運が良かったですね。その資金で事務所を借り、スタッフを雇い、企業として大きな一歩を踏み出すことができました。

現在は事務所にコワーキングスペースのfabbit大手町を利用されていますが、
fabbitのコワーキングスペースを使う魅力はなんでしょう。

まずは立地の良さですね。不動産会社さんとの取引が多いのですが、徒歩15分圏内でお伺いできる企業さまが多くて、この立地は本当に魅力的です。また、地方に出張する機会も多くありますが、新幹線に会社から10分で乗車できるというのは最高です。また、共有スペースのメンテナンスなどにリソースを取られることなく執務に集中できる点も、コワーキングスペースを使う利点と言えますね。

fabbitはコワーキングスペースの貸し出しだけではなく、さまざまな形でスタートアップ支援を行っています。この取り組みについてはどう感じられていますか?

経営勉強セミナー、交流会イベント、資金調達に関する相談会など、精力的に開催されていますね。私自身も何度も利用させてもらっていますし、スタートアップやシェアリングエコノミーといったテーマだとお声がけいただき、登壇者として参加することもあります。両方の立場で利用できるのも魅力です。

fabbitでは低料金で求人採用のサポートも行っています。
活用される予定はありますか?

費用次第ではありますが、自社サービスの保守などを行うエンジニア、場所を貸したいオーナーさま、場所を借りたいお客さまへの対応を行うユーザーサポートスタッフの求人採用で活用できればと思っています。

今後、どのような会社に成長させたいとお考えですか?

新たな不動産インフラとして、都市部だけではなく地域の課題解決として、市民レベルで深く根ざしていくことを目指しています。空き家の問題などもありますが、そうした課題の解決策だけではなく、軒先ならビジネスチャンスを生むこともできるんです。その点を多くの地方の自治体の方に評価いただいていまして、この取り組みが全国に広がってくれると本当に嬉しいですね。また、軒先の強みは全国の隙間スペースをネットワーク化していることにあります。そこに今、色々なサービスレイヤーを乗せているのですが、たとえばドローンの充電拠点や宅配ボックスを置くスペースなど、その時々、時代によって価値を提供できるアイデアがあり、今後も新しいビジネスが生まれる可能性があると考えています。

最後に起業の先輩から、起業されて間もない方、
起業を目指している方にアドバイス、メッセージをいただくことはできますか?

今はスタートアップに関する情報がたくさんありますし、スタートアップでもアプローチできるVCさんが数多くいらっしゃいます。起業家と投資家をつなげるサービスも豊富にありますし、ぜひ悩まずにチャレンジして欲しいと思います。軒先のビジネスモデルは高い評価をいただいていますが、実はこのビジネスに気づいた人は何百人もいると思うんです。でも、アイデアだけではなく、諦めずに努力を続けたからこそ今があります。立ち上げのハードルは下がりましたが、継続することの大変さは変わりません。多くの方のご理解、ご支援も必要になると思いますので、志高く強く頑張って欲しいですね。